熱血硬派くにおくん [アーケードゲームの紹介]

2023年10月25日水曜日

アーケード


80年代後半から90年代前半にかけてゲームセンターを席巻したベルトスクロールアクション。それは本格的などつきあいを実現したゲームジャンル。当時みんなこの手のゲームに熱中していました。


このベルトスクロールアクションの始祖と呼ばれる作品が『熱血硬派くにおくん』。今回は1986年にテクノスジャパンが生み出したこの作品を振り返っていこうと思います。


当時流行っていたツッパリ文化がゲームにも

70年代80年代といえばツッパリがもてはやされた時代。私は80年代はガキンチョだったので知らないのですが、この頃はリアルの学校でもソリコミを入れた頭に変形服を着たような不良生徒が大勢いたそうです。


当時は映画や漫画でも、ビー・バップ・ハイスクールや湘南暴走族のようなツッパリ作品が人気を獲得していた時代です。さらに横浜銀蝿やチェッカーズなど音楽にもツッパリ文化は広がっていました。


そんな中でツッパリのゲームが出てくるのも自然な流れだったのかもしれませんね。


まず登場キャラクターを見ていくと、主人公のくにおはリーゼントに白い長いランという、バリバリのツッパリスタイル。ライバルのりきもくにおと同様に長ランを着ています。スケバンのみすずなんてのも出てきますが、みすず含めてスケバン連中はもう絵に描いたようなスケバンです。


くにおとスケバン。どのキャラもツッパリを象徴するファッションだ。


雑魚敵も木刀を持ったスキンヘッドがいたり、特攻服を着て改造バイクに乗った暴走族がいたり、背景にとんでもないマフラーの改造車が見えたりと、まさにツッパリワールド全開です。


ザ・暴走族といった特攻服と車&バイク


ベルトスクロールアクションの始祖

ツッパリといえばもちろん喧嘩がつきものなわけで、それを始めてゲームで実現した作品が本作。これまでのゲームにはない本格的な喧嘩を疑似体験できる作品となっています。


奥行きを持ったステージを縦横無尽に動きながら、迫力のある効果音を響かせて殴り合いをする…これが本作の特徴であり、のちのベルトスクロールアクション、ファイナルファイトなんかが有名ですが、こういった作品の重要な要素でもあります。本作がベルスクの始祖と言われるゆえんがこれですね。


本格的な喧嘩アクション

ではどんなアクションが出来たのか。まずパンチとバックキックが攻撃の基本ですが、さらに相手をひるませたところを掴んで膝蹴り、さらには投げ、そしてマウントポジションを取って殴ることもできます。


喧嘩アクションがとても本格的だ


ダッシュはできるしダッシュパンチもできる。さらにジャンプキックもあり三角跳びまでできちゃいます。


ダッシュパンチで相手をダウンさせ、そこに腰掛けパンチで追撃。相手にパンチを食らわせて膝蹴りをしてから駅のホームから投げ落とす、みたいなリアルの喧嘩さながらのアクションが再現出来るようになっていました。


当時はこれが本当に斬新でした。この熱血硬派くにおくん以前にも人間対人間のバトルを扱ったゲームはあるにはありましたが、もっと単純なものであり、喧嘩ゲーというよりはアクションゲーでしたから。


効果音もこれまでのゲームにないもので、バシッバシッという音とともに相手をボコボコにするのは爽快そのもの。もちろんリアルではこんな音はしないのですが、リアルな迫力を出すということに一役買っています。この効果音ってかなり重要なんですよね。これでプレイの気持ちよさが全然変わりますから。


ゲームらしいぶっ飛んだ要素も

リアルな喧嘩とは言っても、もちろんゲームですからゲームらしさもきちんと持っています。ゲームに慣れると敵の不良生徒を線路や海にポイポイ投げ入れる、なんて非現実的な戦い方で速攻でバトルを終わらせたり出来ます。これができるとまーじ気持ちいいんだよなー


さらに最終ステージの敵はヤクザ。ツッパリがテーマなのにヤクザが出てくるんですよ。まあでも不良vsヤクザはありうる話っちゃありうる話。ここまではまあいいでしょう。


しかし本作に出てくるヤクザ、なんと高校生相手に全員ドスを使ってきやがります。ヤバすぎるでしょ…さらに組長のさぶにいたっては拳銃ぶっ放してくるんですよ…ありえねえ…


ラスボスの武器はまさかの拳銃


あとスケバンのみすずの強さが尋常じゃない…くにおの倍ほどの図体をしており、それでいながら動きは超俊敏。攻撃力も迫力も半端ない。もはや猛獣ですよ猛獣。女キャラでありながら、素手での強さは間違いなく本作ダントツのNo.1。喧嘩自慢が集まりヤクザまで出てくるのに…


リアルな喧嘩を実現しながら、こういったおバカな部分も多分に持ち合わせているのも本作の大きな魅力なんですよね。


最後に

さて今回は熱血硬派くにおくんを振り返りました。


これだけの魅力を持っていますから当然のごとく大人気となり、メーカーのテクノスもこのくにおくんシリーズに注力することとなります。ファミコン・スーファミ時代に数え切れないほどの作品が世に出ました。


魅力的な別のくにおくん作品が山ほどあるので、また紹介したいと思います。ということで今回はこのへんで。